【こんな症例も治ります シリーズ302】 ネコちゃんの天疱瘡(てんぽうそう・皮膚病の一種) も的確な治療でコントロールします。

猫ちゃんの顔面です。 典型的な”落葉状天疱瘡”と言う皮膚病の姿です。 可哀想ですね。

参照サイト:

https://bit.ly/2Z4cLRn

 

猫 スコテッシュフォールド 13歳 避妊メス

 

【ネコちゃんの顔と前足や後足の皮膚炎がヒドクなった】という事で来院されました。

 

■ 他院様で、皮膚の検査(ダニの検査、真菌の検査)をしましたが、原因が分からず転院してきました。

 

■ 見た目は、顔と前足の皮膚がカサブタだらけで、痒みもひどく掻きむしったり舐めたりで、エリザベスカラー(皮膚を舐めたり、かじったりを予防する首に巻くモノ)をしてないと無理な状態でした。

 

■ 前の動物病院でも、痒みの治療としてステロイド剤を処方されていましたが、効果は無かったようです。

 

■ 猫の皮膚病の原因は、

①寄生虫(ノミ・ヒゼンダニ・ニキビダニ)

②感染症(細菌・真菌)

③アレルギー(食べ物・環境アレルゲン)

④その他(免疫系の皮膚炎、腫瘍)

が一般的に考えられますが、この子の症状とその場所から、アレルギー・その他の病気そして二次的な細菌感染が疑われました。

 

■ 猫ちゃんのアレルギーの診断は、他の原因のリストを一つ一つ確認する検査をして、消去法で残す診断法になります。 そこで、

①細菌感染の診断のための培養検査(菌の種類と効果のある抗生物質がわかる検査)

②その他の原因である免疫系の皮膚炎と腫瘍を調べる病理組織学的検査(皮膚を少し切り取って病理学専門の先生に診てもらう検査)

の2つを行いました。

 

※ かなり難しい表現をしてしまって、ごめんなさい。 なかなか治らない皮膚病は、順番立てて診断をすると、正しい結果が得られるのです。

 

■ その結果、培養検査は緑膿菌(多剤耐性菌で抗生剤が効きにくい怖い菌でした)、病理組織の検査は【 落葉状天疱瘡(らくようじょう てんぽうそう) 】でした。

 

■ 天疱瘡とは免疫系の異常により、自分の皮膚を攻撃してしまう病気です。

 

■ 天疱瘡の原因はいろいろな薬(その他寄生虫の予防薬、外用剤、サプリメントなど)により発症したという報告があるのですが、今回の猫ちゃんは特に心当たりはないみたいなので、はっきりとした原因はわかりませんでした。

 

■ しかし、天疱瘡という確定診断がついたので大量のステロイド剤と、免疫抑制剤の2種類で治療することに決まりました。 緑膿菌(りょくのうきん)については、効果のある抗生剤があまりなかったので、そのような時に用いる特別な消毒液でこまめに消毒してもらいました。

 

■ すると2週間後には、ほぼ皮膚のタダレとカサブタは無くなり、毛も徐々に生え、前述のエリザベスカラーを外せるまでに回復しました。

 

■ あとは、ステロイド剤のみを少しずつ減らし、免疫抑制剤のみで症状が、ぶり返さないことを期待します。

 

■ 今回の皮膚の病気は珍しいものですが、病理組織検査をしないと診断が出せません。

 

※ 珍しい病気なので、最初に診られた動物病院の先生もご苦労された事だと思います。

 

 

◆◆ アレルギーと言われて、お薬やご飯を療法食に変えても痒みが止まらない場合は、より詳しい検査をオススメ致します。

 

※ 当院は、アジア獣医皮膚科専門医である村山信雄先生を【特別医療顧問】として、難治(治りにくい)皮膚科診療を含めて診察をさせて頂いております。

 

ですから、ご安心下さい。

 

獣医師 野村竜哉

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